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№69 さらば文化会館

  弥生月は別れの季節。
今年の春は少々辛い別れ
になってしまった。

 まず一つは母校の高校が
歴史に終止符を打った事。
中高一貫校に移行する事で
校旗と校章が卒業式において
返納されたのだそうである。

 正直私は学校に対しては
あまりいい印象を持っていない。
だからこそなるべく楽しい思い出
を引っぱり出してここには
書き込んでいるつもりである。
そんな私でさえ、通っていた
学校が無くなってしまうという
事をこれほど寂しく感じようとは
思いも寄らなかった。
 やはり自分の中に確かにあった
歴史が、第三者の手によって
ピリオドを打たれてしまった事に
対する無力感が、そんな気持ちを
増幅させているのかもしれない。
 
  もう一つは、下関文化会館が
閉鎖された事。
Photo_22 旧.市民館として
オープンし、
現.市民館に
引き継がれた後、
文化会館と改称。
やはり区画整理に
伴い建物自体もなくなるという。
 
 ここに対する思い出はつきない。
一番最初に行ったのは子供の頃。
当時既に市内では東映でしかなかった
まんが祭りが、文化会館(当時市民館)
であるという。
ポスターにはでかでかと「ガメラ対
深海大怪獣」とある。
実はこの前に「ガメラ対ジグラ」を
同じ市内の「みなと劇場」で
見ているのだが、ジグラの名前が
ないばっかりに私はこれをガメラ
の新作と勘違いしたのだ。

 他に何があったかは思い出せない。
ただ、メインの映画が始まったとたん
がっくり来たのは覚えている。

「見たよ...これ」

 しかしがっかりしたのは
最初の内だけ。
やっぱり怪獣好きにとっては
大迫力の画面で見られるバトル
はとても楽しく、なんだかんだ
いいながら結局楽しんで帰った
思い出がある。

  今現在、下関には映画館は二件しかない。
なのでどうしてもプログラムから
あぶれてしまう子供映画や、地元の
映画サークルがかけるプログラムなど
が定期的に上映される貴重な場
ではあった。

 ただしそれ以外の使い道がなかった
のも事実で、近年は整備されることもなく、
内装などは正直古くなるに
任せっぱなしだった。

  阪本順二監督の出世作「どついたるねん」
もこの文化会館で見た。当時この時の
模様を書いたものがあったので、
早速引っぱり出してきて、振り返ってみたい。

  時は1990年4月30日。
主催は「どついたるねん」を上映する会。
都合三回の上映の幕間にあいさつ、
そして三回目ラストには阪本監督、
荒戸プロデューサー、
清田役、俳優大和武士さんによる
トークショーがそれぞれ付くという構成。
一回チケット払って館内に入ってしまう
と何回見ても咎められないのが
田舎の映画館ではあるが、
このイベントは完全入れ替え制だった。

 既にこの時代車を持っていたのだが、
この周辺には駐車場はあるものの、
いかんせん長時間とめておくと高い。
当時はまだ交通機関を使う方が
安かった。それならば、と
幸い文化会館前にバス停が
あったので、私はこの日バスで来ていた。
 
  一回目を見終わった。
体からアドレナリンが逆流するんじゃ
ないかと思うくらい興奮していた。
是非もう一回みたい!

 が、しかし財布の中には
二回目以降を見る余裕はなかった。

「家帰って借金しよう」
 
  なぜかそれしか
思いつかなかった。
一回目の出し物が完全終了すると、
ダッシュでバスに乗り込む。
往復一時間かけて再び文化会館へ。
夕方の三回目を見終えて
いよいよトークショー。
地元マニアの質問に思わず
熱っぽくなる荒戸源二郎
プロデューサーはまさに
この映画の如き情熱の人。
美川憲一さんをキャスティング
する際、当初受けてくれるとは
思っていなかったらしい等の
秘話を公開。

 また「次は大和さん主演で一本撮り
ませんか」という質問には
「次の試合に勝ったら」と、当時次に
大一番を控えていた、現役ボクサー
でもあった大和さんに檄を飛ばす
荒戸さん。
 
  前もってそういう約束があったのか
どうかは定かではない。
しかしそういう事前の打ち合わせが
あったにせよ、なかったにせよ、
我々は歴史的事実の目撃者に
なることができた。
それだけは確かである。

  後にこの檄に応えた大和さんは
見事大一番に勝利し、主演作「鉄拳」
が撮られた。これは事実として
残っているのである。

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